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海の星座

光を射す言葉を。

ピアノロックの呪縛 -16/12/14 WEAVER presents Music Holiday Vol.1-

私がWEAVERに出会ったのは5年前、2011年のことだった。ギターの代わりにピアノを据えた3人組ロックバンドの姿は、音楽にのめり込んで間もない私にとって、前例のないカタチで音楽を追い求めるバンドとして煌いて見えた。ピアノによるメロディーは耳馴染みが良く、流麗で、可憐で、それでいて力強かった。Vo./Pf.杉本の指が鍵盤上を踊るように動き、Ba.奥野がメロディアスなベースラインを奏で、Dr.河邉が支えるだけでなく彩るようなドラミングを見せる……そんな三重奏は、本当に美しかった。

 

先日彼らはこれまで避けてきた対バンイベントを開催した。ゲストに迎えたのはレーベルメイトのLAMP IN TERREN、そして、今のロックシーンの第一線で活躍するBIGMAMA。前者はともかく、後者は接点なんてあったの?と一瞬頭をかすめるが、MCで金井政人(BIGMAMA)が言ったように、確かにピアノやバイオリンを加えた、新しい形のロックバンドとして常に戦っている。彼らが近づくのも当然と言えば当然か。

トップバッターのLAMP IN TERRENは、Vo./Gt.松本の魂を削るような歌声が空を裂き、なんばHatchという大きな会場をもまだ小さいと思わせるほどの存在感を見せた。

続くBIGMAMAはさすがと言うにふさわしいステージング。WEAVERファンに合わせたかのような、バラードを中心としたセットリストで、普段のBIGMAMAとは少し違うテイストを見せた。

そんな2バンドによって、オーディエンスの盛り上がりはすでに最高潮を迎えようとしていた。そして筆者に限って言えば、いつしか彼らのライヴから足が遠のき、これが約2年ぶりとなるWEAVERのライヴ。どんなものを見せてくれるのかと、期待半分、そわそわ半分であった。

 

3人がステージに立ち、赤、緑、青にそれぞれ光るスティックを掲げた。サンプリングパッドを使って打ち鳴らされる音はさざめきから、大きなうねりとなって、観客を飲み込んでいった。そこには4、5年前までの彼らはいなかった。サウンドの作り方、表現、見せ方、全てが同じバンドのものとは思えないほどに、大きく成長していた。控えめでスマートな、繊細なピアノロックバンド。それがかつてのWEAVERだった。それが今や、スマートさと繊細さをそのままにエレクトロサウンドを使いこなし、過去の曲をもダンスロックにアレンジしながら、自信たっぷりに笑う。たった2年で人はここまで変わるのか、バンドはここまで変わるのかと目を疑った。ステージに置かれたのはグランドピアノではなく、小さなキーボード。かつてWEAVERをWEAVERたらしめるほとんど唯一の武器であったピアノは、もちろん今でも彼らのコアではあるだろうが、今の彼らにとっては音楽表現の一つの手法に過ぎないのではないだろうか。ピアノの価値が下がったというのではなく、彼らの持つ音楽の表現方法が格段に増えたという意味で。知らないバンドが知っている曲を演奏している、と言ってもいいくらいに、彼らは変貌を遂げていた。

まるで呪縛が解けたかのような変貌だった。「唯一無二だ」と思わせるバンドへの進化。彼らが望む望まないに関わらず、「レーベルの弟分、優雅で美麗なピアノロックバンド」という目があった。それはいつしか彼らにとって殻のような、さらには呪縛のようなものになっていたのではないだろうか。しかし今の彼らにそんなしがらみは微塵も感じられなかった。レーベルメイトが増え、彼らが兄貴分にまで上がったからかもしれない。ロンドン留学で得た音の感覚が今徐々に結実しつつあるのかもしれない。理由はなんであれ、流れるような優美さを湛えるメロディーだけではなく、明滅するイルミネーションのような華やかさをその音に散らすことができるようになった彼らは、最初に出会ったあの頃よりも、ずっと美しく見えた。その美しさは花のように可憐なそれではなく、心の芯から光を放つような、自信に裏打ちされた、凛とした美しさだった。

 

今のWEAVERのワンマンを見たい。改めて筆者は強く思う。進化したと言えど、もちろんここで終わりはしない。だからこそこれからは見逃せない、見落としたくない。唯一だと言い切れる自信とバンドとしてのアイデンティティーを強固なものにしたら、どんなバンドにも負けないだろう。WEAVERを見るなら、今だ。