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海の星座

光を射す言葉を。

三者三様の音模様 -16/12/05 セクマシ∞飯室大吾の圧倒的な期・待・感!! vol.1-

12月の最初の月曜日、文字通り「圧倒的な期待感」を胸に心斎橋JANUSに足を踏み入れた。月初の週始めだというのにフロアはすでに満員が近い。ファン層はあまり重ならなさそうな3バンドだと思ったが、意外にそんなこともないのかもしれない。

この夜のアクトはココロオークション、Brian the Sun、そしてホストのセックスマシーンだ。セックスマシーンのVo.森田に言わせると「脳みそ真っ二つになっちゃう」くらいに毛色の違う3バンドだが、だからこそ大きな化学反応を起こせるのではないかとさらに期待が高まった。

 

1バンド目にはココロオークション。凛とした姿勢と、それがそのまま表れた音が魅力的な生粋の歌モノバンドである。結成から5年、関西イチゼロ世代最後の切り札と呼ばれながら、満を持して今年メジャーデビューとなった。そのメジャーデビューミニアルバムのリードを飾った「フライサイト」を筆頭に、新旧バランスよく取り揃えたセットリストで魅了した。3曲目に披露された、「星座線」は来年1月にリリースとなるメジャー2ndミニアルバム「CINEMA」のリード曲であるが、演奏面において、これまでのココロオークションのイメージとは異なる、スパイシーな一面を見せている。Ba.大野の深く鋭いテクニカルなベースラインが引き金となって、Vo.粟子の柔らかくも芯のある声がピリッとひきしまる。歌モノバンドといえば誤解されがちであるが、彼らはただ優しいだけでも、ただ美しいだけでもない。歌、言葉というものに込める気持ちは底なしに深く、そこに注ぐ情熱は、生半可なものではない。心を見透かすかのように、粟子はじっとオーディエンスひとりひとりの目を見つめる。何かを伝えようとする彼の姿は、ココロオークションというバンドの姿は、恐ろしいほどに清廉で、美麗だった。

 

続くのはBrian the Sun。彼らもまた今年メジャーに進出した関西出身バンドの一つだ。かねてよりそのビタースイートなサウンドや、時に飾らず、時に深い精神世界を見せる言葉の数々で音楽ファンをひきつけてきた。この日もデビューシングル「HEROES」や、「彼女はゼロフィリア」でアグレッシブに鳴らしてフロアをあたためたのちに、「Maybe」で緩やかに柔らかく歌い、「ロックンロールポップギャング」でとどめを刺した。ココロオークションが歌モノだと称されるならば、Brian the Sunは"王道"ギターロックだと言えるだろう。しかし当然、彼らが王道なんてものに甘んじるとは思えない。鋭く刺したかと思えば優しく歌い、甘やかに誘ったと思えば突き落とす。そんなサウンドの技巧が、ストレートな言葉たちが、Brian the Sunというバンドの魅力だ。恥ずかしながら、筆者はまだ彼らを知っているとは言い難い。知れば知るほど遠のくような、そんな届かなさを思わせるBrian the Sun、次に日本のロックシーンに革命を起こすのは、彼らの絶対的なバランス感覚の上に成り立つ音楽のような気がしてならない。

 

そして関西が誇るパンクロックバンド、セックスマシーン。そのバンド名と風貌からして、どう見てもコミックバンドなのだが、そして実際ネジのぶっ飛び方は確かにコミックバンドのそれなのだが、彼らはパンクロックバンドだと言っていいだろう。鼓膜が割れんばかりの大声で、森田が叫ぶ。何もかもがバカバカしくなってしまうくらい彼は真っ向から立ち向かってくる。自分のいるところがステージの一番前だ、と豪語し、どこまでも走って行ってステージの幅を広げてしまう。後ろの方でぼんやり立っていてもステージに乗っていることにさせられる。しかし多少無理矢理でも巻き込んだもん勝ちだ。傍観に徹したところで、彼は意に介さない。そして不思議なことに、気づいたら彼に合わせてシンガロングしている。言葉や音で惹き付けるタイプのバンドではない。「気づいたら飲み込まれている」のだ。一度味わってしまえば、また行きたくなる。セックスマシーンはそんな不可思議なバンドだ。有り余るほどに情熱的で、どんな空気もものともしない逞しさ。そんな泥臭さは敬遠されがちだが、こんなにも、格好いいのだ。

 

どんなしっちゃかめっちゃかなイベントになるかと思ったら、3バンドがそれぞれ己の良さを正面からぶつけ合った結果、かなり色濃くハイカロリーな一夜となった。やはり化学変化は面白い。共通点の少なそうなバンド同士にしか生み出せないものが見られるのは、こういうイベントくらいなものだろう。