海の星座

光を射す言葉を。

What have I sought in live concert?

これは、配信ライヴにいまいち乗り切れなかった筆者が初めて配信ライヴを見た話だ。ライヴレポートでも批評でも何でもない覚書。 世界が変わりだしてから、気づけば半年が過ぎた。例えば去年の夏、誰がこんな未来を想像できただろうか。誰がこんな、夏フェス…

あの日夢見た景色 -ポルノグラフィティ “NIPPON ROMANCE PORNO '19 〜神VS神〜” at 東京ドーム-

20年という歳月は、言葉にするには簡単だが、実際に何かを続けながら重ねていく時間と考えると、気の遠くなる程長い時間だ。2019年9月8日、ポルノグラフィティはその日を迎えた。デビュー20周年。CD全盛期だった20世紀の終わり頃から、CDが売れないと嘆かれ…

音の鳴るほうへ、ひかりの降るほうへ -18/06/30 sumika Live Tour 2018 "Starting Caravan" at 日本武道館-

ちょうど梅雨が明けたばかりの東京、九段下。暴力的な夏の日差しの下、“Sumika Tour 2018 Starting Caravan”と刻まれたフラッグがひらりと翻った。結成5周年を迎えたsumikaがとうとうたどり着いた武道館のステージ。彼らが万感の想いをこめて鳴らした2時間は…

「らしく」在ると云うこと -BURNOUT SYNDROMES "孔雀"-

一際目立つピーコックグリーンのジャケット。孔雀、と名付けられたそのアルバムは、射抜くようにこちらを見つめている。 BURNOUT SYNDROMESの「らしさ」とはなんなのだろう。彼らが自ら掲げる「らしさ」と、他人が彼らに投影する「らしさ」は果たしてどこま…

ひとつまみの焦燥

近年はThe Floorの躍進が特に目立つ札幌のミュージックシーンだが、昨年はバンドの解散が相次いだ。そんな中で、地道に歩みを進めてきたアルクリコールが先週、ミニアルバム「Re:versal」をリリースした。THEサラダ三昧からの改名後、初のリリースとなった今…

鳴らすなら、3人の音を。 -17/12/26 ユビキタス at 2017 今を賑わすバンド超会議-

失くしたと思っていたピースが思いがけない場所から見つかって、穴の空いていたジグソーパズルがうっかり完成したような、そんな嬉しいサプライズだった。 大阪の3ピースロックバンド、ユビキタスにとって、2017年は始動以来の受難の年だった。飛躍を誓った…

感情は計算の外側で -17/12/08 PRIMAL CURVE 『#言葉は死角か視覚化可能か?』TOUR FINAL ONE MAN-

それはある一つの終わりであり、同時に、まだ見ぬ第2章の扉絵を飾るにふさわしい一夜だった。 2017年12月8日、大阪RUIDO。シングル「ReleaseMe?」のリリースツアー、「#言葉は死角か視覚化可能か?」のファイナルであり、PRIMAL CURVEの1年5ヶ月ぶりのワンマ…

変わらないものを探して -ユビキタス "変わりゆく世界"-

大阪のギターロックバンド、ユビキタスが10月21日、結成5周年を迎えた。当日は福岡でライヴを行なっていた彼らだが、この日から会場限定のシングルが発売開始となった。タイトルは「変わりゆく世界」。前作から9ヶ月しか経っていないが、今までのどんな期間…

今という一瞬を生きること -17/10/21 ココロオークション 3rd mini Album Release TOUR 2017 『夏の終わりを探しに行こう』-

10月21日、大雨。ココロオークションのホーム、大阪でのワンマンライヴが梅田TRADで開催された。8月にリリースされた3rdミニアルバム、「夏の夜の夢」を提げたツアー、「夏の終わりを探しに行こう」のセミファイナルである。秋の雨に見舞われた当日だったが…

醒めない夢、解けない魔法 -17/10/15 BIGMAMA 『BIGMAMA in BUDOKAN』-

照明の消えた会場に流れ出した、交響曲第九番のあのフレーズ。同時にオーディエンスの歓喜の声が大きなうねりを起こして、日本武道館を埋めた。 2017年、10月15日。その大きなステージに立ったのは、BIGMAMAだった。彼らは10年という月日を、実直に、でも時…

ロジカルな言葉を、エモーショナルに鳴らして。 -PRIMAL CURVE "ReleaseMe?"-

理系のバンドは意外といないんじゃないだろうか。いや、もちろん理系出身のバンドマンはいる。アーティストはいる。ここで言いたいのは、「理系ロックバンド」を看板に掲げるバンドはそうそういないんじゃないかという話だ。 そもそも、これは偏見であるとも…

今はまだ窓の外から -17/07/15 sumika ONEMAN LIVE 『Little crown #4』-

そのバンドが売れているか否かを一般大衆が判断する時に、もっともわかりやすい指針となるのが、「チケットが即完するかどうか」である。事実、某音楽番組では「今最もチケットが取りにくいバンド」というワードが、若手バンドが出るたびに放たれるのだから…

いつかその音が鳴り止む時まで -17/07/06 ユビキタス Acoustic One-man Live-

7月6日、江坂pine farm。広くはないライヴバーに、大勢のユビキタスのファンが集まった。Ba.ニケの誕生日パーティーも兼ねた、バンド初となるアコースティックワンマンライヴだった。ライヴハウスとは一味違うライヴバーの空気感、足を踏み入れるなりメンバ…

巣立ちは晴れの日に -17/07/01 ココロオークション at 見放題2017-

7月の第一土曜日。夏フェスシーズンの開幕を告げるサーキットフェス、見放題が今年も開催された。今年で10回目を迎えたこのイベント、過去にはTHE ORAL CIGARETTES、フレデリック、KANA-BOONら現在のロックシーンの最前線を行くロックバンドを輩出した、若手…

bet on them. -17/05/31 ユビキタス at サルベージ計画番外編-

約2ヶ月ぶりに、ユビキタスのライヴを見た。 この2ヶ月の間に、休養中だったDr.ヒロキが脱退、メンバーはVo./Gt.ヤスキとBa.ニケの2人となった。ヒロキの休養中からすでに仲間のバンドに助けられ、サポートドラムを入れながら進んできた彼らではあったが、5…

夢と現のはざま、のような。

先日のことである。マンチェスターでのアリアナ・グランデのコンサート会場のすぐ外で自爆テロ事件が起きた。その一報を聞いた時の、「またか」という落胆。パリでも同様にライヴハウスが狙われたことは記憶に新しい。それを受けての「またか。」である。言…

しあわせの正体 -17/04/29 ラックライフ presents GOOD LUCK 2017-

顔中を口にして豪快に笑いながらPON(Gt./Vo)がこぼす。「幸せやわあ。なあ。」それにイコマ(Gt.)がのんびりと返す。「せやなあ。」 4月29日、なんばHatchで開催された「GOOD LUCK 2017」でのワンシーンである。拍子抜けするほどのほほんとした2人の掛け合い…

響く音のスコール -17/04/27 ココロオークション『CCR UNPLUGGED』-

丸い椅子が3脚と、カホンが1つ。アコースティックギターが2本に、アコースティックベースが1本と、小さなキーボードが1台。マイクが4本。フロアに灯るライトに柔らかく照らされたステージは、その配置のせいか、はたまた柵がないせいか、いつもよりもやけに…

始まりの季節 -LINO GRAPHが呼び起こす春風-

4月になり、もう半月が過ぎた。のんびり屋だった今年の桜もいよいよ散り始めている。 ベタなことを言うようだが、春は始まりの季節だ。今回はそんな爽やかな季節にぴったりのバンドを紹介したい。 大阪に、LINO GRAPH(リノグラフ)という、音在輝志(Vo./Gt)、…

最果ての先 -17/03/12 ユビキタス LIVE TOUR 2016-2017 『カルテット』 FINAL-

この日、ユビキタスの第1章が終わった。そんな風に思えるライヴだった。 青白い光に包まれた渋谷WWWのステージに、ヒロキ(Dr.)の姿はなかった。完全な三角形ではない形でのライヴで、第1章が終わったなんて、そんな言葉は似合わないかもしれない。彼らは不服…

心を通わせ、心に寄り添う -17/01/29 ユビキタス LIVE TOUR 2016-2017『カルテット』ONEMAN SERIES-

ほんの一瞬、会場内のBGMの音量が上がった。フロアの照明が落ち、聴き馴染みのある入場SEが流れる。定刻を少し過ぎて、3人がいつも通りの自信ありげな笑みを見せて、ステージに現れた。 2枚のミニアルバムをひっさげたユビキタスのツアー「カルテット」のワ…

感情の解放 -ユビキタス "ジレンマとカタルシス"-

現在、LIVE TOUR 2016-2017『カルテット』と銘打ったツアーを敢行中のユビキタスから、4枚目のミニアルバム「ジレンマとカタルシス」が届いた。前作から約2ヶ月での発表となる今作は昨年11月にリリースされたミニアルバム、「孤独な夜とシンフォニー」の連作…

謹賀新年

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 遅々として更新の進まない本ブログではございますが、お読みいただいてる皆さま、本当にありがとうございます。 今年こそはライターとしてちゃんとデビューしたいと、願望と少しの焦燥を抱いております。 …

ピアノロックの呪縛 -16/12/14 WEAVER presents Music Holiday Vol.1-

私がWEAVERに出会ったのは5年前、2011年のことだった。ギターの代わりにピアノを据えた3人組ロックバンドの姿は、音楽にのめり込んで間もない私にとって、前例のないカタチで音楽を追い求めるバンドとして煌いて見えた。ピアノによるメロディーは耳馴染みが…

三者三様の音模様 -16/12/05 セクマシ∞飯室大吾の圧倒的な期・待・感!! vol.1-

12月の最初の月曜日、文字通り「圧倒的な期待感」を胸に心斎橋JANUSに足を踏み入れた。月初の週始めだというのにフロアはすでに満員が近い。ファン層はあまり重ならなさそうな3バンドだと思ったが、意外にそんなこともないのかもしれない。 この夜のアクトは…

全ては「きみしだい」 -NICO Touches the Walls "マシ・マシ"-

リリースが発表された時、まさかと思った。ラーメン好きはわかるけど、とうとうそれをシングルに冠してしまったのかと。実際にその音を耳にするまで、彼らの真意を測りかねていた。 11月30日にリリースになったシングルの表題曲である「マシ・マシ」は体を揺…

四重の共鳴 -16/11/25 ユビキタス LIVE TOUR 2016『カルテット』@京都MUSE-

昨夜の京都MUSEはさながら感情の坩堝と言ったところだったか。ユビキタスは毎ツアー、毎会場、実に面白い取り合わせでブッキングをする。仲の良いバンド同士なのは言うまでもないが、そのジャンルは多岐にわたり、彼らの交流の広さを思い知ることとなる。昨…

青春の瞬間性 -BURNOUT SYNDROMES "檸檬"-

−− 見わたすと、その檸檬の色彩はガチャガチャした色の階調をひっそりと紡錘形の身体の中へ吸収してしまって、カーンと冴えかえっていた。 −− 檸檬、と聞いて、真っ先に梶井基次郎の短編が思い浮かぶ人は決して多いとは言えないだろうが、フルアルバムのタイ…

孤独な夜の向こう側 -ユビキタス "孤独な夜とシンフォニー" -

11月2日、ユビキタスの3rd mini album「孤独な夜とシンフォニー」がリリースとなった。 先日のライヴレポート中でもすこし触れたが、今作のタイトルにある「孤独な夜」は決してマイナスなイメージではなく、自分自身と向き合う時間のことを指しているのだと…

三人で魅せる光 -16/11/01 ユビキタス LIVE TOUR 2016 『カルテット』TWO MAN SERIES-

先月めでたく結成4周年を迎えた大阪のユビキタスが、1年ぶりに新譜をリリースするということで、その「カルテット」と銘打ったリリースツアーの前哨戦として、10月27日に東京・渋谷O-Crest、11月1日に大阪・心斎橋Music Club JANUSでのツーマンシリーズを開…